6月22日から24日にかけて、Refill Japan事務局は、現在開催中の大阪・関西万博におけるリフィル・リユースの実施状況について福島大学沼田研究室と共同で現地調査を実施しました。
その概要をご報告します。
給水スポットがたくさん
Refill Japanは、大阪関西万博の開催が決まった当初から、会場内に多くの給水スポットを設置することを関係者に働きかけてきました。
Refill Japanのパートナー企業であるOSGコーポレーション等の企業が、協賛として給水機を設置したこともあり、万博協会によると、現在74か所に給水スポットが設置されています(6月現在、マイボトル給水機、水飲み場、手洗い場等の合計)。
実際に会場内では、大屋根リングの下や、屋内休憩所を始め、たくさんの給水機を確認することができ、天候や場所によっては、水を求める人々が行列を作っていました。
一番使われている給水機は、開幕からの2か月余りで27万回も使われており、これは一般的な設置場所での数年分に匹敵するほどのハイペースです!
また、象印マホービンが設置したマイボトル給水機は、公開の場では初のお披露目で私たちも初めて利用してみました。
空になったボトルとキャップを置くと、オゾン水によって、マイボトルが洗浄されます。吉野杉を使ったデザイン、目玉の動きや音声ガイダンスも楽しく、工夫されています。
国内外でたくさんの給水スポットを見ているRefill Japanスタッフでも万博会場の給水スポット設置率は感動するレベルでした。
これが、早く街中でも当たり前の光景になれば!と思います。
そうなったときに初めて、これが万博のレガシーだといえるでしょう。
フードトラックエリアのリユース食器利用状況
万博会場内の8か所のフードトラック(キッチンカー)では、使い捨て容器による資源の浪費を回避するため、洗って何度も使用するリユース食器の利用が、出店の公募段階から営業の条件となっています。
Refill Japanでは、すべてのフードトラックエリアを回り、販売されているメニューと提供の際に使っている容器、リユース容器使用の掲示の有無、リユース容器回収ステーションの運営状況などを確認しました。
東ゲートを入って最初に目に入るエリアでは、バームクーヘンのパフェのようなメニューやドリンク類が、すべてリユースカップで提供されていました。また、リユース容器の使用を案内するポスターがきちんと掲示がされており、回収ステーションではスタッフがにこやかに容器の回収に対応していました。
未来社会のイメージを体験する万博の玄関にふさわしい光景です!
その他のエリアでも多くのメニューはリユース容器で提供されていましたが、メニューによっては使い捨て容器の利用も見られました。
さらに、一部には、リユース容器を全く使用せず、使い捨て容器のみで提供しているエリアもありました。メニューの内容的によっては、手持ち用の包み紙だけですむため、容器が不要なところもあります。しかし、たこ焼き、麺類、ドリンクなど、容器がなければ提供できないメニューに関して、使い捨て容器を使っている状況は、フードトラックの営業の条件に反していいますから改善が求められます。
また、広い万博の会場内でリユース容器の回収ステーションがわずか6か所しかないため、購入後に移動してしまうと回収場所が見つからず、やむなく最寄のごみ箱(3Rステーション)に持ちこまれている場面も目にしました。
そして、せっかくのリユース食器の運営が、多くの来場者には認知されていないことはもったいないことです。万博の公式サイトなどでも、リユース食器の利用について積極的に発信いただければと思います。
ごみの分別が難しい
今回の万博の会場内には、約50か所のごみ箱(3Rステーション)が設置されているとのことです。
ごみ箱のデザインは、数種類ありましたが、分別の種類はいずれも以下のようになっています。
・ペットボトル
・ペットボトルのふた
・びん
・缶
・プラスチック
・紙ごみ
・燃やすごみ
・燃やさないごみ
・飲み残し
・生ごみ・食品廃棄物
食べ残し、飲み残しを入れる箱があるのは大変よいと思います。
しかし、使用済みの使い捨て容器などは、「プラスチック」「紙ごみ」「燃やすごみ」「燃やさないごみ」のどこに入れるのか、わかりにくいです。
ステーションによっては、係員がいて対応していましたが、いないステーションもあります。
そして、一部のごみ箱にQRコードがついていて、分別案内のページを見られるようになっていますが、その場でわざわざQRコードで確認する人はがどれだけいるでしょう?
さらに、ごみ箱の表記が日本語メインで外国語はひときわ小さな文字の英語のみ、というのは国際イベントとして違和感がありました。
さらなる3R推進に向けて
万博はすでに会期の半分が経過していますが、以下のような部分について、さらなる対応がなされれば、「未来社会の実験場」のより確実な成果が期待できると思います。
1)リユース食器利用の周知拡大と利用の徹底
・万博の公式ウェブサイトや、メディアを通した発信で、フードトラックではリユース食器を利用していること、利用の後は回収ステーションに返却することで、環境負荷を低減できることを、積極的に周知する。
・リユース食器の使用に消極的な事業者は、出店条件を遵守し、原則としてリユース食器で提供する。
2)リユース食器回収場所の確保
・リユース食器専用の回収ステーションに加え、会場内のすべての3Rステーションにもリユース食器回収ボックスを設置し、リユース食器が確実に運営業者に返却されるような体制にする。
3)ごみ・資源分別のナビゲーションの強化
・ごみ箱にQRコードをつけるだけではなく、それぞれの箱に何が該当するのかわかりやすく表示する。
・ごみ箱のそばに立つスタッフが積極的にナビゲーションを行うようにする。
・英語以外の外国語(中国語、韓国語等)でも表記する。
4)回収後の効果の発信
・3Rステーションで回収され、資源化されるものについては、どのようにリサイクルされるのかがわかるような情報発信を行い、来場者の正しい分別への意欲を高める(特に生ごみの堆肥化、ガス化など)。
今回の万博が、資源循環の分野において未来社会にレガシーを残していけるよう、Refill Japanとしても、引き続き、関係者とのコミュニケーション、社会に向けた発信を行っていきます。
※2025年8月21日開催オンラインイベントのご案内